第二章―内側の話―2008-10-13 Mon 22:37
[9月20日P.M.1:00―彼方視点―]
「おい四海〜、お前この頃調子乗りすぎじゃね?」 「そうそう。授業勝手にふけたりするしよ。いい加減にしろっての、このグズ。」 「そんなんだから親から捨てられるんだよ、ば〜か。」いつもの三人が私の周りを囲む。クラスの連中は相変わらず見て見ぬふり。・・・・はぁ、どうすれば満足するのかな?この人たちは。「私の勝手じゃないの?そういうことは。あんた達には関係ないじゃない。」 「うっとうしいんだよ、目の前で居なくなったり帰ってきたり。もう辞めろよ、学校。」 「そうそう。さっさと――ってオイ!」無視して教室を出る。もちろんランドセルも持って。机は公共物だから大した手出しは出来ないでしょ。下駄箱へと向かう。 靴を履きかえ(上靴はランドセルの中)中庭へ行く。校舎の陰になっていて涼しい。吹き抜ける風は心に安息をくれる。やっぱりここはいいな・・・。芝生に寝転がる。 「しかし、未来ってば嬉しそうに話しちゃって。お蔭でこちとら寝不足だよ。」昨日かかってきた久しぶりの電話。終始明るいトーンで話す未来につられて、こちらも嬉しくなってしまった。まぁ、電話を切った後はかなり大きな寂しさがあったけど。 「あ〜、もしもし、お嬢さん?」ふと頭の上の方から声がした。そちらを向くと、見知らぬ少年と目があった。中性的だけど男前な感じ。同学年かな?「うん?何か用?」 「いや〜、実は今日からこの学校に転入するんだけど、迷っちゃってさ。案内頼める?」 「別にいいけど、何処に案内すれば――」いいのかしら?と続けようとした時にドッヂボールが頭に直撃した。グワンと頭が揺れる「っつ?!」 「おっしゃー、ストライク!ほらみろ、完璧ぃ。」 「すっげー、流石不二峰だな。野球クラブ期待のエース!コントロールばっちり!」 「それに球威も十二分だしな。いやすげーよ、マジで!」例の三馬鹿の仕業ね。いい加減しばいて・・・と思ったが体が上手く動かない。「えと、え、あれ?」 「無理するなよ。あれは完全に後頭部を捕えてた。しばらく安静にしてろ。」そう言って少年が三馬鹿に近づいていく。「おい、お前ら。女子に何てことしやがる。」 「は?誰だよお前?関係ねぇ奴は引っ込んでろよ!」小学生は短絡的な思考しか持たない。すぐに拳を振り上げる不二峰。「殴るんなら、当然殴られる覚悟もあるよな?」 「へ?」少年はその殴打をあっさり避けて、無防備の不二峰の腹にボディブローを入れた。「うげっ?!ゲホッ、うえ・・・。」あまりの威力だったらしく、不二峰は地面に膝をついた。口からは唾液が漏れている。あれは効いたな〜。「て、てめぇ、不二峰に何しやがる?!」 「何って、殴ってきたから殴り返しただけだ。何か俺に間違いがあるのか?」 「うるせえよ!おらぁ!」三馬鹿の一人、立石が殴りかかる。が、それは可哀そうなことに空振りに終わった。 「言ったろ?殴るんなら殴り返されるぞ、ってな。」ズドン。立石にも無情な一発が決まる。結局不二峰と同じ形で苦しむ羽目になった。「で、お前はどうする?かかってくるか?」 「う、うわあああああ!」最後に残った篠道が不二峰、立石を連れて逃げていく。肩を借りれば走ることは出来るようだ。「へぇ、加減も出来るんだ。強くてすごいね、あんた。」 「まぁ、所属上仕方ないことだ。自然と闘う術が身に付く。それより、大丈夫か?」少年がこちらに手を差し伸べる。それを掴んで立ち上がったが、流石に自力で歩けそうにない。「悪いけど、ちょっと肩貸してくれない?まだ足元がふらついててさ。」 「別にいいけど、なんならお姫様だっこしてやろうか?これなら歩けなくても全然OKだしさ。」そう言って私を持ち上げる。「ってちょっと!そこまでしなくていいわよ!」 「無理すんなって。見た目通り軽いから大丈夫だ。」 「そういう問題じゃない!ってどうしたの?」走り出した瞬間に少年がブレーキをかけた。・・・やっぱり私って重い?そんな危惧を抱いたとき。「保健室どこ?」 「・・・・・・・・・・そこの突き当り。」そうだった。そういえばこの人、今日転校してきたって言ってたっけ。案内頼まれたのに、こんなザマ見せちゃうとは私も鈍ったものね。 「ホイ、到着!」声で思考をやめる。気づけばいつの間にやら保健室の中だった。そのままベッドに寝かされる。「あ〜、先生いないな。保健担当知らねぇし。」 「すぐに良くなると思うからこのままでいいわ。それより、回復したら案内するから、何処に案内すればいいのか教えてもらえる?」 「ん、そうだったな。まずは職員室―いや、五の二?まぁどっちかだな。」 「ふ〜ん。五の二に転入、か。だったら同じクラスだね。私は四海彼方(よつみ かなた)。クラスじゃあさっきの通り、まぁ親に捨てられたから仕方ないけどね。」 「よくある話、か。子供ってものは異常性を排除したがるからな。事情は追々知って行くとして、俺の名前は鮮闇零(あざくら れい)。今後ともよろしくな。」鮮闇零。なんかすごく珍しい名前だ。一度聞けばもう忘れない感じがする。「ところで、えっと、鮮闇。」 「ん?何か聞きたいか?電話番号なら〇八〇――」 「じゃなくて、さっき三馬鹿追い払った時、強さとか加減とか『所属上仕方がない』って言ったじゃない?あれはどういうことなの?」実際気になっていた。空手道場とかかもしれないが、何故かもっと別のような気がした。「どうしても、どうしても気になる?」 「う、うん。」じっと此方をみつめてくる鮮闇に少し気圧される。少し考えていた鮮闇だったが、「OK。なら俺の少し異常なところを教えようか。」 「はい?」いきなり訳が分からない。が、私の反応を無視して話を続ける。「彼方だから教えるんだ。絶対他の奴に話すなよ?」 「うん、約束する。」 「よし!まず一つ、俺は『アウトサイダー』って言う能力者だ。能力と代価を持つんだが、俺は自分の代価を知らない。能力はこんな感じかな。」そう言って指をくるっと回す。すると、その指先の空間に黒い渦が発生した。「へ〜、超能力だ――っていやいやいや!え?何、何なの、『アウトサイダー』って?!」 「言った通りだ。能力と代価を持つ能力者。そして二つ、こういう『アウトサイダー』の内、力のある奴らだけを集めた集団『System』。それが俺の所属だ。」・・・違う。理解しようとするんじゃなくて割り切ればいいんだ。つまり、鮮闇は『アウトサイダー』で『System』。なんとなく納得した。 「って納得できるわけないでしょぉおおおおおおおおおお!!!!!」 |
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